司法書士兼翻訳者の中嶋です。
私は以前、フリーランス(個人事業主)の英語翻訳者として仕事をしていた時期があるのですが、現在では翻訳業は法人化して株式会社として行っております。
フリーランスの翻訳者が法人化(会社設立)する最大のメリットとしては、信用度がアップして仕事を受注しやすくなることにあるのではないかと思います。
一般的なフリーランスの翻訳者は翻訳会社に登録して下請けで仕事を受注するか、あるいは翻訳会社以外の一般企業や組織から直接仕事を受注するケースが多いかと思います。
ところが、企業(法人)が翻訳の仕事を個人の翻訳者に発注する場合、法人の翻訳会社に発注する場合よりも経理作業に手間がかかります。
個人に翻訳料金などの報酬を支払う場合は企業に源泉徴収義務があり、報酬額から10.21%(2023年現在)を源泉徴収して税務署に納付しなければならず、また年明けには報酬額に応じて支払調書も作成する必要があります。
フリーランスの翻訳者を多数抱えている翻訳会社ならともかく、翻訳を発注する一般企業からするとこれらの経理作業は面倒だと思われますので、必然的に法人の方が発注しやすいでしょう。
私も翻訳業に関しては個人のお客様からのご依頼は単発のご依頼も多く、継続的なご依頼やボリュームのあるご依頼は圧倒的に法人のお客様からのご依頼の方が多いので、受注のしやすさを考えて法人化をしました。
このように、一般企業や組織の取引先が増えることがフリーランスの翻訳者が法人化することの最大のメリットではないかと感じます。
逆に、翻訳業とは異なり個人のお客様相手の小規模な飲食店や商店などであれば、お客様は運営元が法人か個人かはあまり気にしないでしょうから、信用面でのメリットは少ないように思います。
一方、法人化のデメリットとしては、会社設立にコストがかかる、決算を含めた書類手続きが個人事業主よりも複雑で面倒、赤字でも税金(均等割)がかかるなどがあります。
税率に関しても個人と法人では異なりますので、税金面に関しては、税理士などの専門家に相談することを含めて個人と法人でどちらが得かを事前によく調査されることをおすすめします。
大阪府高槻市の司法書士中嶋国際法務事務所では、個人事業主の方の法人化をサポートしています。
とりわけフリーランスの翻訳者の方であれば自身の経験を踏まえてアドバイスできるかと思いますので、法人化を考えておられる方は是非お気軽にご相談ください。