司法書士の中嶋です。
先日、株式会社の設立登記申請に伴い電子定款認証手続きを行いました。
公証役場での電子定款認証手続きに先立ち、定款をPDF化して司法書士電子証明書により電子署名を付与する必要があるのですが、その作業にかなり手間取ったので、これ以上の犠牲者を生まないためにも以下にその方法を簡潔に解説したいと思います。
まず、司法書士電子証明書はセコムトラストシステムズ株式会社の「セコムパスポート for G-ID」を使用しています。
司法書士電子証明書の利用申込方法に関しては「セコムパスポート for G-ID」のウェブサイトに記載されていますし難しくありませんのでここでは割愛しますが、郵送でのやり取りが必要で少し時間がかかりますので、業務で電子証明書を利用される予定の方は早めに利用申込しておくことをおすすめします。
また、「Adobe Acrobat Reader」もダウンロードされていない方はダウンロードしておいてください。
さて、電子定款を作成する方法ですが、まずはワードファイルで作成した定款をPDFファイルに変換します。
ワードのメニューバーにある「ファイル」から「エクスポート」を選択し、「PDF/XPSの作成」をクリックするとPDFファイルを作成することができます(「印刷」からでもPDF化できるかと思います)。
次に、PDF化した定款に電子署名を付与します。
PDFのメニューバー下にある「ツール」タブを選択し、「証明書」をクリックします。
次に、ツールバーの下に出てきた「デジタル署名」をクリックします。
電子証明書を付与する場所(定款の末尾になるかと思います)をドラッグして指定し、電子証明書ファイルを選択して署名すると、電子署名が付与されます。
これで電子定款が完成しました。
この電子署名が付与された電子定款は、公証役場での認証に先だって、「登記・供託オンライン申請システム」からダウンロードした「申請用総合ソフト」を使用して公証役場に送信することになります。
「申請用総合ソフト」を使用した電子定款の送信方法に関しては、株式会社リーガルの「電子定款オンライン認証嘱託マニュアル」が非常に分かりやすかったので参考にしてください。
ちなみに、「登記・供託オンライン申請システム」のウェブサイトや会社設立に関する書籍などではPDF署名プラグインソフトの「Signed PDF」および有料のAdobe AcrobatまたはSkyPDFを使用するように記載されているかと思いますが、これらは混乱を招く元になりますので、少なくとも初心者には不要かと思います。
私も最初は書籍を参考にAdobe Acrobat(お試し版)をダウンロードして「Signed PDF」で電子署名の付与を試みたのですが、なかなか上手くいかず、調べていると「Signed PDF」ではAdobe Acrobatの32ビット版しか動作しないという情報を得たので、64ビット版を32ビット版にインストールし直したりと散々格闘しました。
そもそも、「Signed PDF」のマニュアルが難しすぎて、読んでいて完全に頭がショートしました(笑)。
結局、何度やっても上手くいかずに無料の「Adobe Acrobat Reader」を使用する方法にたどり着いた訳ですが、こんなに簡単にできるのにわざわざ複雑かつお金がかかる方法を紹介しているのには疑問を抱きます。
以上、電子定款の作成方法について簡単に解説させていただきましたが、本記事を読んで少しでも電子署名に戸惑う方が減ることを望みます。