司法書士の私は翻訳会社(株式会社)の代表取締役でもあるのですが、最近、経営しているこの会社が設立から10年が経過したこともあり、役員変更登記を申請しました。
役員変更登記と言っても役員が交代する訳ではなく正確には重任登記となるのですが、株式会社は最低でも10年に1度は役員変更登記を申請する必要があります。
株式会社の取締役の任期は原則として2年(ちなみに監査役は4年)なのですが、この任期は非公開会社であれば定款で10年まで伸ばすことができます。
会社法第332条
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
2 前項の規定は、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
非公開会社とは株式譲渡制限会社とも言い、全ての株式について譲渡制限が設けられている会社のことを言います。
分かりやすく言えば、株式を譲渡する際に会社(株主総会や取締役会、代表取締役など)の承認を要する旨の定めを設けている会社のことですね。
1人で経営している会社はもちろん中小企業の多くは非公開会社ですので、役員変更の可能性がないのであれば、変更登記にも手間や費用がかかりますので、役員任期は定款で10年にした方が良いかと思います。
役員変更登記の登録免許税は、資本金の額が1億円以下の会社は1万円(資本金の額が1億円を超える会社は3万円)となります。
役員変更登記の期間は、登記の事由が発生した時から2週間以内に本店所在地においてしなければならないと定められています(会社法第915条)。
なお、登記を怠った場合は100万円以下の過料に処される可能性がありますので注意しましょう(会社法第976条)。
また、株式会社は最後に登記をした時から12年を経過したときは解散したものとみなされ、登記官の職権により解散の登記がされてしまう可能性がありますので、10年に1度の役員変更登記は必ず行うようにしましょう。
特に1人で経営している会社で登記事項が頻繁に発生しない場合は、10年に1度の役員変更登記もついつい忘れがちになってしまうと思いますので、次の役員変更登記がいつになるかカレンダーで確認しておくことをおすすめします。
もちろん、弊所でも役員変更登記のご依頼を承っておりますので、お気軽にご相談ください。