「司法試験があれだけ難しいのは、受験生自身が苦労することによって人の痛みが分かる法律家になって欲しいという法務省の親心である」というような話をどこかで読んだことがあります。
同じく法務省管轄の国家資格である司法書士試験が難しいのも似たような事情なのでしょう。
司法書士試験は自分自身だけではなく法務省の試験委員との戦いでもありまして、受験生時代に散々苦しめられた私としては上記の「法務省の親心」というのは素直に受け入れられない部分でもありますが、折に触れて思い出す、気に入っている文章でもあります。
先日、10月5日付けで司法書士登録が完了したとの通知が日本司法書士会連合会から届きました。
これで正式に司法書士となったわけです。
私が司法書士の勉強を始めたのは2013年ですから、司法書士になるまで約8年の月日が経過していることになります。
2017年に司法書士試験に合格するまでは約4年。
私は元々すぐに司法書士になるつもりはなく、合格後には受験の疲れもあってこれ以上法律を勉強する気にも研修を受ける気にもならず、しばらくは本業の仕事をしつつも世界を旅する生活を送っていました。
私自身が起業家ということもあって会社設立登記や起業家の支援には漠然とした興味を抱いていたのですが、コロナ禍によって本業の仕事が減り海外に行けなくなったのも重なって、兼業として司法書士の仕事を始めることになりました。
以前は心のどこかで登記業務がメインの司法書士の仕事を軽く見ていた私でしたが、実際に研修を受けてみると、思ったよりも司法書士の業務は幅広く、日本社会や経済とも密接に関連していてやりがいのある仕事に感じました。
「司法書士は食えない」なんていう話もよく耳にしますが、周りの独立されている方で月収100万円以上稼いでいる方は普通にいますし、独立開業して適切なマーケティングを行い必要最低限のコミュニケーションさえ取ることができれば十分に稼げる仕事だと考えています。
バブル時代とは異なりそれなりの大学を出ていても良い仕事に就ける保証もないわけですから、他の難関資格に限らず、司法書士というのは十分に努力をする価値のある資格だと思います。
私は兼業ではありますが、今後数年間は司法書士として一人前になれるよう努力をしていきたいと思っています。
ただ、コロナ禍で様々な本やニュースに触れ、「認知の歪み」により犯罪に走る非行少年、学費が払えずに夜の世界に飛び込む女子大生、ウイグル人弾圧を始めとする基本的人権の侵害、営業の自由の侵害などに関する問題を見るにつけ、せっかく法律家として仕事をするのであれば、裁判業務を主として、刑事事件や憲法問題に取り組みたいという思いが強くなってきました。
そのようなわけで、今は司法書士事務所の開業準備を進めると共に司法試験予備試験の勉強にも取り組んでいます。
人生とは退屈なもので、年を重ねるごとに生老病死の苦しみをますます実感するようにもなりますが、それと同時に、限りある人生において「やりたいことは全部やる」「自分の能力を最大限に発揮できるよう誠実に努力する」という思いも強くなってきました。
私にはまだ、弁護士になるという夢も、シンガポールに投資会社を設立するという夢も、世界を旅するという夢も、作家になるという夢もあります。
今後生きていく中でこれらの夢が変更になる可能性はあるかも知れませんが、楽しみながらも誠実に努力を続ければこれらは全て達成可能だと考えています。
ひとまずは、コロナ禍が収まった時にまた自由に旅に出られることを夢見ながら、一流の法律家を目指して努力をしていきたいと思っています。