司法書士試験

【常鱗凡介】司法書士試験の合格者に本当の天才はいないと思った理由

「司法書士試験の合格者に天才なんていないんじゃないか」

司法書士試験の勉強が進むにつれ、このように思ったことが何度かあります。

合格までに少なくとも3,000~4,000時間の勉強は必要だと言われている司法書士試験ですが、私もこの意見には概ね同意です。

勉強期間が1年の場合は3,000時間、2年以上の場合は4,000時間というのが1つの目安になりそうです。もちろん、集中した勉強というのが前提ですが。

でも、世の中に本当に天才がいるとしたら、1,000~2,000時間の勉強時間で合格する人が出てきてもおかしくないと思いませんか。

しかし、少なくともここ最近の司法書士試験でその程度の勉強時間(初学者から)で合格したという人の話は聞いたことがありません。

一発合格で有名な人たちで3,000時間、数は少ないのですが私の周りの合格者(私を含む)で4,000時間以上というのが普通です。

皆さんは「フォトグラフィックメモリー」という言葉を聞いたことがありますか?

見たものを写真を撮るように脳内に記憶する天才的な記憶力のことですが、このような能力があったとすれば、短時間で司法書士試験に合格することもできそうです。

司法書士試験は「日本一の記憶力試験」と言われることがあるくらい覚える量が膨大で、司法書士試験に合格する人は記憶が定着するまで何度も何度も繰り返しテキストを読んでいることでしょう。

でも、「フォトグラフィックメモリー」であれば1回読むだけで覚えてしまうので、1,000時間未満の勉強時間でも十分に合格しそうです。

ところがそのような話は聞いたことがありません。

「フォトグラフィックメモリー」は存在しないのでしょうか?それとも、「フォトグラフィックメモリー」は単なる文字列として記憶しているだけで、理解しているということにはならず、本試験では使い物にならないのでしょうか?

少し私の話をします。

私は仕事をしながら4回目の受験で合格したのですが、勉強を始めた頃はなんとか1年で合格したいと思い、1年目は2,000時間勉強することを目標に掲げていました。

2,000時間という限られた勉強時間で合格するためには勉強のスピードを上げなければいけないと思い、速読や速聴にも挑戦し、六法の音声を高速で聴いたり過去問を高速で回したりしていました。

当時の私は自分の頭に自信がありましたし、周りの人たちからも「頭が良い」「凄い」などと言われることがよくありましたから、1年で受かると信じて疑わなかったんですね。今から思うと自惚れていたわけです。

予備校の模試でも合格判定を取っていたのですが、いざ挑んだ本試験では手も足も出ませんでした。勉強の深さが足りなかったわけです。

本試験の圧倒的な難しさの前に茫然自失となると共に、自分がいかに凡人であるかを再認識しました。

司法試験に関する誰かのコメントが頭に残っているのですが、司法書士試験も自分がいかに凡人であるかを認識してからがスタートだと思います。

自分の高慢さに反省した私はその後、一から勉強をやり直そうと自分にあったテキスト(『オートマシステム』)を選び、勉強方法も見直してじっくりと読み込んで理解する勉強、地道に1つ1つ記憶していく勉強に切り替えました。

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忘れて覚えてを繰り返す地道な作業を繰り返しているうちに、「人間の脳みそなんてみんな似たようなもんなんだなぁ」と思うようになり、なんだか虚しくもありました。

もちろん、中には疾患などで脳に異常がある方もいると思いますが、人間の脳みそには個体間で大した差異がないとすれば、使い方が重要になってくるのだと思います。

脳みそを正しく使い、1つの物事に集中・継続して取り組んでいれば必ずや成果は出るでしょう。

確かに世の中には大した苦労もせずに数カ国語をマスターしたり映画に出てくるような複雑な数学の公式をスラスラ書いたりする天才も存在するのかもしれませんが、泥臭さを必要とする司法書士試験には天才という言葉は似合わないような気がします。

むしろ、地道な努力を続けてきた司法書士試験の合格者は努力の天才と言えるのかもしれませんね。

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