私は合格するまで合計で4回司法書士試験を受験したのですが、本試験を受けて感じたのは「不動産登記法の記述式問題の1問目(第1欄)が難しい」ということです。
去年(2017年)の本試験でも、記述式では(と言うか、試験全体でも)不動産登記法の1問目が一番難解に感じました。予備校の講師でも解答が分かれるくらいでしたから解けなかった人も多いのではないでしょうか。
私も、本試験の厳しい時間制限の下、午後の択一式問題を猛烈な勢いで解いてから不動産登記法の記述式問題を読み始めたのですが、どうにも1問目(第1欄)の答えが導き出せず、一瞬頭が真っ白になり、「また来年か」という思いが頭をよぎって泣きそうになりました。
しかし、この年は散々記述式問題を解いていてそれなりに自信があった私は、「絶対にできるはずだ。考えろ」と自分に言い聞かせ、再度問題文をじっくりと読み直し、なんとか解答を導き出すことができました。
第1欄を解くだけで30分以上は時間を使ったような気がしますが、第2欄と第3欄は第1欄を解いた勢いもあってスムーズに書き終えることができました。
商業登記法の記述式問題に入ったときには45分くらいしか残っていませんでしたが、書く分量が少なかったこともあって全て埋めることができました。
その結果、記述式の点数は50.5点(70点満点)で85位と、なかなかの高得点を取ることができました。
結果から見ると余裕だったわけですが、仮に第1欄が解けなくて冷静さを失ったり時間が無くなったりしていたら、それが影響して他の問題も解くことができなかったかもしれません。
合格レベルにある受験生でも、1つのミスで「また来年」ということになったりするわけですから、本当に恐ろしい試験だと感じます。
試験委員も落とすために問題を作成しているわけですから、不動産登記法の1問目にはその年の核となる難しい問題が出るケースが多いように思います。
順番通りに解いている受験生であれば、択一式問題を解いた後に時間も無くなってきて相当なプレッシャーがかかっているでしょうが、難しい問題や知らない問題が出たからといってうろたえてはいけません。
「知らない問題が出るのは当たり前」と心に留めておき、いざ知らない問題が出たとしても、今まで勉強してきた自分の力を信じ、じっくりと問題を読み込み冷静に考えましょう。
私も去年の記述式問題は未見問題のオンパレードでしたが、今までの知識を総動員して解答にたどり着くことができました(気付かずにスルーした問題もありますが・・・)。普段の「深く理解する勉強」が役に立ったように思います。
もちろん、記述式問題は時間が足りないので、考えても分からなければ、時にはスパッと諦める潔さも必要です(これが難しい)。
仮に第1欄が空白だとしても、第2欄と第3欄がばっちりかけていれば、通常の採点だと35点中20点は取れるでしょう。商業登記法も同様に20点を取れば十分に基準点は超えます。
私の場合、商業登記法が31点だったので、結論から言えば不動産登記法は1桁でも合格していたことになります。
怖いのは、分からないからといってパニックになって自分を見失ってしまったり、時間がなくなったりして普段なら解けるであろう他の問題が解けなくなることです。
「知らない問題は必ず出る」
「自分の実力を出すことに集中する」
「時には開き直る」
本試験に望む上で、これらの考えは非常に役に立ったように思います。
じめじめとした天気が続きそうです。震災に遭われた方は特に大変だと思いますが、最後まで諦めずに頑張りましょう。
天才とは努力する凡才のことである。
――アルベルト・アインシュタイン