平成30年度(2018年度)の司法書士試験までもう少しですね。プレッシャーのかかる時期です。
私は司法書士試験には4回目の受験で合格したのですが、それなりに自信のあった3回目(平成28年度)の受験の時、以下のような気持ちになりました。
その年の試験は過去最難とも言われ、試験中はとにかく時間が足りませんでした。午後の記述問題はとても時間内に解けるような分量ではなく、午後の択一問題にもかなりの時間を取られました。
初夏のうだるような暑さの中、私はそれこそ一心不乱に記述問題を解いていたのですが、その時に、「とてもじゃないが時間が足りない。また今年も駄目なんじゃないか」という考えが頭をよぎりました。
ただ、それと同時に自分のふがいなさに一種の怒りにも似た感情を覚え、生粋の負けず嫌いな私は、「後一歩で合格できるレベルまできたんだ、例えこれから何年かかったとしても合格するまで勉強してやる」という吹っ切れた気持ちになりました。
兼業受験生だったこともあるでしょうが、今思えば、それまでの私は司法書士試験をどこかで舐めていて、心の底から真剣に勉強に取り組んでいなかったように思います。しかし、その時に初めて、司法書士試験の合格に必要なメンタル(言い換えれば覚悟)が備わったように思います。
それ以来、「これだけ生活を犠牲にして今まで勉強してきたのに、今年も受からなかったらどうしよう」という不安が頭をよぎると、「せっかくここまで来たんだから、こうなったら何年でも付き合ってやる」という考えが頭に浮かぶようになりました。
その年の試験では試験終了ぎりぎりまで足掻いたものの、結局記述の点数が数点足りずに不合格になってしまったのですが、その翌年は勉強期間中も、試験中もどこか心に余裕を持って望めたように思います。
一種の覚悟が芽生えると同時に、3回目の試験中に改めて実感したことがあります。それは、「司法書士試験の試験委員は(とてつもなく)意地悪だ」ということです。
司法書士試験は相対評価の試験で、合格するのはわずか3~4%程度ですので、試験委員は落とすために問題を作成します。
私が合格した平成29年度(2017年度)の試験でも、記述式の問題は、予備校の模試や司法書士試験のテキスト、過去問でも見たことのない問いのオンパレードでした。
皆さんなら、このような難問に対してどのように対処しますか?
普段から、問われる可能性の低い応用問題や奇問を解きまくりますか?それでは明らかに効率が悪いように思います。
大事なのは、基礎を徹底することです。基本問題を徹底的に頭に叩き込み、深い部分で考え方を(それこそ感覚的に)理解することだと思います。そうすれば、初見の問題が出たときにも、今までの知識を総動員して対応できるようになるのです。
しかし、法律の基本的な考え方を深い部分で理解していなければ、本試験のプレッシャーの中、思考を練って回答を導き出すことはできません。
もちろん、見たことのない問題の中には、ベテラン受験生や合格者でも(と言うか、予備校講師でも)ほとんど解けないような問題もありますので、時には割り切って捨てることも必要です。これは特にプレッシャーのかかる本試験では難しいのですが、自分の実力に自信があれば、どこを捨てれば良いかの判断も容易になるでしょう。
見たことがない問題が出ると焦るかもしれませんが、焦りや不安は思考を鈍らせます。自分の知らない問題は必ず出ると考え、実際に初見の問題が出ても慌てず、じっくりと考えるようにしましょう。
本試験は予備校の模試とは(全くと言っていいほど)異なります。私も何度か受験するうちに、本試験の傾向や試験委員の考えというのが何となく分かってきて、予備校の模試の結果に惑わされることなく、本試験に照準を合わせることができたように思います。
もちろん、人それぞれ事情がありますし、今年の試験に何が何でも合格するという気持ちで日々勉強を続けるのも大事でしょうが、本試験でもそのような気持ちだと過度なプレッシャーに繋がる恐れもあります。「万が一落ちてもまた来年がある」くらいの気持ちの方が余裕を持てるのかもしれません。いずれにせよ、本試験では余計な考えは捨て、目の前の問題、そして自分の実力を出すことに集中するようにしましょう。
明日死ぬかのように生きよ。 永遠に生きるかのように学べ。
――マハトマ・ガンジー