「司法書士試験に合格するのとTOEIC990点(満点)を取るのはどっちが難しいのだろう?」
私は、司法書士試験の勉強を始めたときこのようなことを何度か考えました。なお、TOEICとは、一般的な日本人がTOEICと聞いて連想するリスニングとリーディングのテスト(TOEIC Listening & Reading Test)を指します。
司法書士試験の合格率は3~4%台(受験者数ベース)、一方、TOEICですが、調べたところ、900点以上のスコアを取るのは受験者の上位約3%で、990点(満点)を取るのは受験者の上位1%にも満たないようです。
この数字だけ見ると、TOEIC満点を取る方が難易度が高いように思えますが、私の個人的な感覚ですと、TOEIC満点よりも司法書士試験に合格する方が(わずかながら)難易度が高いと思います。
まず、受験者数が圧倒的に違います。2016年度のTOEICの年間受験者数は250万人だったそうですが、それに対して、2017年度の司法書士試験の受験者数は1万5,440人です。司法書士試験は年1回しか行われないのに対して、TOEICは毎月のように行われているという違いもあるでしょうが、それにしても100倍以上の差というのは驚きです。
TOEICは今や日本人の間では馴染み深い試験で、受験者の中には大して勉強をしていない、いわゆるお試し受験の方も多いでしょうから、受験者の上位約3%に入ることは、司法書士試験に比べるとそれほど難しくはありません。
また、試験自体の難易度が極めて高い司法書士試験に比べると、(英語のプロから言わせてもらえれば)TOEICに出てくる英語は簡単なものばかりで、試験自体の難易度は非常に低いものです(英検やTOEFLの方が難しい)。あまり言うとTOEICの勉強に取り組んでいる方に怒られそうですが、TOEIC900点を何とか超えたからと言って、まだまだ英語に精通しているレベルにあるとは言えません(たまに、英語ネイティブやネイティブクラスの方で900点前後しか取れなかったという方もいますが、それは試験慣れしていないからだと思われます)。
私は大学生の時にTOEIC900を超えましたが、今の私の英語力から見ると、ろくに英会話すらできなかった同時の私の英語力というのはまさに子供同然です。いや、ネイティブの子供にすら勝つことは難しいでしょう。
ちなみに、私は司法書士試験には合格していますが、TOEICは985点で、満点(990点)を取っているわけではありません。「何を取っていないのに偉そうに・・・」と思われるかも知れませんが、TOEICの試験直前に1ヶ月程度(それほど根気を入れずに)勉強して、何度か続けて受ければ、満点は取れると思っています。
ただ、TOEICは英語力を測る試験で、持っていてもそれ自体で何か仕事をできるわけではありませんので、満点を取っても自慢する以外に使い道がなく、時間もお金(1回数千円程度の受験料)も勿体ないから受けていないだけです。
もちろん、TOEICは司法書士試験のように各問題の難易度はそれほど高くないとは言っても、満点を取ることは困難を極めるでしょう。どのような試験でも、1つのミスもしないというのは難しいものです(TOEICは相対評価なので、実際には全問正解しなくても満点を取れる可能性があるのですが)。
司法書士試験とTOEIC、同じ言葉の勉強ですので共通する部分はありますが、法律と英語で分野は違いますし、また試験の形式も大きく異なります。人によって向き不向きもありますので一概に難易度は比較できませんが、両方の試験に(それなりに)精通しているものの意見として、参考にしていただけたらと思います。
余談ですが、TOEICのスコアを聞かれて985点と答えると、周りの方は大抵驚かれます。司法書士試験は難易度の割に知名度が低いのか、周りの方の反応は薄いです。司法書士試験に合格した方は、(あくまで私の主観ですが)TOEIC満点と同等、いやそれよりも凄いことなんだ、と自信を持っていただければと思います。ただし、自慢し過ぎて周りから嫌われないように注意しましょう。