予備校に通わず、独学で司法書士試験の勉強を始めようと考えている方も多いかと思います。
司法書士試験の市販テキスト『オートマシステム』を使用して独学で勉強し、『オートマシステム』のシリーズのみで合格できるかと問われれば、その答えは「十分可能」なのですが、以下にその理由を記載して行きたいと思います。
まず、私は最終的には『オートマシステム』を使用して独学で合格したのですが、4年間にわたる勉強期間中、全て独学と言うわけではなく、1年目は予備校「資格の大原」の司法書士講座に通っていました。確か15ヶ月くらいのコースだったように思います。
本試験直前に行われた「資格の大原」の全国模試では一番高いA判定を取ったのですが、いざ本試験を受けてみると、予備校の模試とのあまりの違いに驚き、結果、択一の基準点を超えることもできませんでした。
2年目以降は、働いていることもありましたが、もう予備校の講義を受けるつもりはなく、また予備校でもらったテキストや過去問は散々使い倒していてもう開く気も起きなかったので、何か独学で勉強するのに良いテキストはないかと探していたところ、某掲示板で何度か目にした『オートマシステム』が気になったので読んでみることにしました。
『オートマシステム』の民法を買って読んでみると、まるで物語を読んでいるかのようで面白く、今まで分からなかったことや曖昧だったことも腑に落ちるような感じでした。すっかり気に入ったので、2年目からは『オートマシステム』を使用して勉強することにしました。
『オートマシステム』は初めから色分けされており(市販のテキストなので当たり前と言えば当たり前ですが)、サイズも持ち運びに便利と、面倒くさがりな私にはぴったりでした。予備校のテキストは記載されている情報は豊富だったものの、講師の説明がないと分かりづらく、またサイズも大きく、自分で色分けするのも面倒でした。何よりも、読んでいて面白いと感じられませんでした。
『オートマシステム』は色々な種類が出ていますが、私が主に使用したのは基本書の『オートマシステム』と中上級者向けの『プレミア』、後は『記述式』の本です。『過去問』の本は、基本書の『オートマシステム』にも重要な過去問は載っていますし、予備校時代に散々過去問をやったこともあってやりませんでした(得点の伸びなかった会社法・商法だけやりました)。後は記述式の『ひながた集』も使用したのですが、後から考えるとこれは不要だったように思います。
最低限必要なのは、基本書の『オートマシステム』と『記述式』の2種類になります(もちろん、六法は必要)。『プレミア』は、基本書の『オートマシステム』を何回も読み込んで理解した後や、飽きた時なんかに使用するのが良いかと思います。それ以外のシリーズに関しては、勉強を進めていく上で足りないと感じれば必要に応じて追加していけば良いかと思います。
2年目以降は勉強のペースがスローダウン(1年で500~1,000時間程度の勉強時間)したこともあり、『オートマシステム』、『プレミア』、『記述式』の3種類に書かれていること全てを(深いところで)理解したと言えるレベルに達するまでは約3年かかりましたが、そのレベルに達したとき、無事に高得点で合格することができました。
『オートマシステム』を使用した3年間の独学の間、予備校は本試験直前に行われる全国模試を2~4回程度受けたのみでした(ちなみに予備校はLECを使用しました)。これは自分のレベルを確認するためでもありますが、どちらかと言えば試験の時間配分を確認するため、そして試験の雰囲気に慣れるためです(本試験は独特の雰囲気がありますので、決して完全に慣れることはないのですが・・・)。
もちろん、1年間以上予備校に通っていて基礎をある程度理解していたので、『オートマシステム』の内容が理解しやすかった部分もあるかと思います。私も最初、『オートマシステム』はすらすらと読み進めることができたので、内容が薄いのではないかと心配になったこともありましたが、何度も繰り返し読んで、著者が大事にされている「基礎を徹底的に叩き込む」ことができ、その結果「法的思考力」を養うことができたように思います。私が合格した年(2017年)の本試験では、(特に記述で)見たことがない問題も多かったのですが、「基礎力」と「法的思考力」で対応できたように思います。
法律用語というのは難しく、初めて法律に触れる方は、テキストの内容が理解しづらい部分も多いかと思います。しかし、『オートマシステム』に書かれていること全てを深いところで理解できる(これが難しいのですが)ようになれば、合格はすぐ手の届くところにあるでしょう。
結局、勉強するのは「条文」、「判例」、「過去問」で、有名なテキストであれば書かれている内容にそれほど大差はないように思います。自分に合ったテキストを使用するのが一番良いでしょう。自分に合ったテキストとは、継続して楽しんで勉強できるかどうかに尽きると思います。
私は『オートマシステム』のみで合格したわけではありませんので、完全な独学とは言えませんが、独学用のテキストを探されている方は、まずは『オートマシステム』の民法を読んでみて、自分に合うかどうか試されてみてはいかがでしょうか。