株式会社は、出資者(株主)が資金を出資し、役員(取締役)が会社を運営していくことを基本構造としています。取締役の職務を監査する監査役を置く場合もあります。そして、取締役が会社を運営し、その事業によって生じた利益を株主に配当します。株式会社のオーナーは株主であり、代表取締役ではありません。
もっとも、平成18年(2006年)に会社法が施行され、取締役1名でも株式会社を設立できるようになったため、「唯一の株主=代表取締役」という小規模の会社も多くなりました。
このように、株式会社の基本構造は、株主がオーナーで、取締役が会社を運営するという分離した構造になっています。そうであるならば、取締役が適切な働きをしているかどうかは、株主の大きな関心事といえます。
そのため、株式会社の役員には任期が設けられており、その役員に会社運営を任せることが適切かどうかを問う機会を作っています。結果的に同じメンバーになったとしても選び直す必要があります。法定の任期は、取締役が「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」であり、監査役については、「2年」の部分が「4年」となっています。
ただし、公開会社ではない株式会社は、定款で「2年」「4年」の部分を10年まで伸長することができます。公開会社ではない会社とは、発行する全部の株式について、株式の譲渡制限に関する定めがある会社のことをいいます。日本の株式会社の多くは公開会社ではなく、定款で任期を伸長しているケースも多くあります。
ここで、監査役について補足説明をしておきます。監査役は取締役の職務を監査する役目を担いますが、取締役と異なり、必ずしも置かなければならない機関ではありません。公開会社ではない株式会社の場合、取締役会を設置する会社では、原則として監査役を置かなければなりませんが、取締役会を設置していなければ、監査役の設置は任意です。
ただし、設置する場合は定款にその旨を定め、「監査役設置会社」である旨の登記が必要となります。また、監査役は取締役の職務を監査する機関ですが、その権限を会社の計算書類などの会計に関する監査に限定することもでき、その旨も登記事項となります。
ここまでお話ししたとおり、役員は任期ごとに選び直さなければなりませんが、任期途中で取締役が自ら辞任したり、株主が解任したり、新たに取締役を選任することもできます。役員は株主総会で株主が選任しますが、通常、任期満了による役員変更は定時株主総会で行います。任期の規定が「定時株主総会の終結の時まで」となっているためです。
では、取締役のトップである代表取締役はどこで選ぶのでしょうか?これは、株主が株主総会で選定することもできますし、取締役の互選で選定することもできます。また、定款で代表取締役を定めることもできますが、実務ではほとんど見かけません。
いずれにしても、代表取締役の選定方法はあらかじめ定款に定めておく必要があります。ただし、取締役会設置会社では、取締役会が取締役の中から代表取締役を選定します。
ここで、もう1つ役員の任期について補足説明をしておきます。例えば、取締役がA、B、Cの3名いるとします。Cが任期途中で辞任し、Dが新たに選任された場合のDの任期はどうなるでしょう?
原則として、Dは選任されてから任期がスタートします。仮に「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」であれば、Dが選ばれてからDについて個別にこの期間が進行します。
つまり、A、BとDでは任期満了の時期がズレることになります。そこで、定款で「補欠規定」や「増員規定」を定めることで、任期を揃えることができます。「補欠規定」は、後任として選任された者の任期を前任者の残存期間と同一とするもの、「増員規定」は、追加で選任された者の任期を他の既存役員の残存期間と同一とするものです。
さて、このようにして選任し直した役員については、必ず登記申請を行う必要があります。メンバーが変わらなくても、再度登記をしなければなりません。同じメンバーを再任することを「重任」といいます。登記申請の期限は、変更が生じた日から2週間以内となり、期限を超えると過料の対象となります。
役員変更登記の登録免許税は、資本金が1億円以下の場合は1万円、1億円を超える場合は3万円となります。主な必要書類としては、①定時株主総会議事録、②取締役の互選書または取締役会議事録、③就任承諾書、④印鑑証明書、⑤本人確認書類などがあります。役員変更の場合、印鑑証明書の規定が少し複雑ですので、簡単に説明しておきます。
まず、印鑑証明書の提出場面は2種類あります。1つは、役員の就任の際に提出する「印鑑証明書」です。取締役会を設置していない会社では「取締役」の就任、取締役会設置会社では「代表取締役」の就任の際に印鑑証明書を提出します。ただし、重任の場合には添付を省略できます。
もう1つは、代表取締役の選定に関する印鑑証明書です。代表取締役は、「株主総会」「取締役の互選」「取締役会」などによって選定されますが、その選定方法に応じて、議事録等への実印の押印や印鑑証明書の添付が必要となる場合があります。ただし、会社実印を届け出ている者がその決議に参加し、会社実印を押印している場合には、他の出席者について印鑑証明書の添付を省略できる場合があります。
さらに、監査役を含む役員の就任には、⑤の本人確認書類(印鑑証明書、住民票、身分証のコピーのいずれか)を提出する規定もあります。この書類は新任の場合に必要となり、上述の印鑑証明書を提出する場合には、その印鑑証明書を本人確認書類と兼ねることができるため、別途提出する必要はありません。
今回は、主に任期満了を中心とした役員変更のお話をしましたが、実際には代表取締役が辞任して選び直す場面や、唯一の代表取締役たる取締役が亡くなられたといったケースもあるかと思います。当事務所では、さまざまな役員変更の事案を経験しておりますので、どのようなケースでもご相談いただければ丁寧にご説明いたします。
大阪府高槻市の司法書士中嶋国際法務事務所では、株式会社の役員変更を含む会社登記全般に関するご相談・ご依頼を承っております。対応地域は、高槻市周辺の北摂地域(高槻市、茨木市、吹田市、摂津市、島本町など)を中心に、大阪府下全域のほか、全国からのご相談・ご依頼にも対応しております。
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