司法書士業務

有限会社から株式会社への変更(移行)手続きを司法書士が解説

会社法は、平成18年(2006年)5月1日に施行されました。それ以前の株式会社は、今ほど設立しやすいものではありませんでした。最低資本金は1,000万円以上、発起人(出資者)は7人以上とされていたため、設立のハードルは高かったといえます。また、当時の会社形態の一つとして「有限会社」がありました。

有限会社は、株式会社ほど設立要件が厳しくはありませんでした。最低資本金は300万円以上、社員(出資者)は1人以上と、当時の株式会社と比較すれば設立しやすい形態でした。ここでいう「社員」とは、一般的な会社員という意味ではなく、株式会社でいうところの発起人(のちの株主)にあたるものです。

株式会社の考え方をシンプルに説明すると、出資者(株主)が会社運営のための資金を出資し、取締役が会社を運営していく中で、その利益の配当などを通じて株主は権利を享受するといったシステムです。つまり、株主と取締役などの役員は分離した構造です。

株式会社の設立要件であった資本金1,000万円以上、発起人(株主)7人以上という条件では、ある程度の規模の会社からのスタートとなります。そのため、有限会社は株式会社よりも設立しやすい会社形態という位置づけでした。ところが、時代背景や経済環境などを踏まえ、最低資本金を撤廃し、より柔軟な会社の機関設計ができるようにするため、会社法が制定されました。

会社法では、株式会社を設立するには、発起人(出資者)は1名以上、資本金は1円以上とされています。そうなると、比較的小規模な会社を想定していた有限会社を新たに作る意味がなくなるということになりました。そこで、新たな有限会社は設立できなくなり、それまでの有限会社は「特例有限会社」として、株式会社の規定に合わせる形になりました。

具体的には、有限会社は「株」ではなく「持分」でしたが、これを「株」に統一しました。これに伴い、それまで有限会社特有の登記事項が「社員→株主」「持分→株式」「出資口数→発行済株式数」「出資1口→1株」というように変更されました。一方で、法改正とともに変更されず、有限会社に特有のものとして維持されているものもあります。

代表的なところでは、役員の任期がありません。株式会社は、会社法施行後、定款で規定することにより、最長で「選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会終結時」まで伸長することができるようになりました(非公開会社の場合)。とはいえ、株式会社では同じ役員であっても、最長でも10年ごとに選任し直し、登記もする必要があります。

有限会社は、もともと任期というものがなく、特例有限会社となった後もこれは維持されていますから、同じ役員であれば選任し直す必要がありません。ほかにも、株式会社には義務付けられている決算公告が不要である点も維持されています。このように株式会社と同様の規定に変更されつつも、一部は旧法の規定を維持しているのです。

その面から考えると、形態としては株式会社と同様の状態になった特例有限会社でも、その存在意義はあるといえます。一方で、商号を「株式会社」に変更し、通常の株式会社に移行する方法も用意されています。ここからは、株式会社に移行する方法について説明していきます。

特例有限会社が株式会社へ移行するには、まず株主総会を開催して、その承認決議を行います。また、変更後の定款内容についても決議します。移行するにあたって、新たに変更したい登記事項があればそこも含めて決議し、株式会社への移行登記の際に、同時に登記することができます。ただし、本店移転の登記は別途申請が必要で、移行と同時に本店を変更することはできません。

次に、役員の任期の問題にも触れていきます。特例有限会社の役員には法定の任期がありませんが、株式会社に移行すると、会社法で定める任期が適用されることになります。そうなると、仮に移行後の定款で任期を「選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会終結時」までとした場合、いつから10年なのかが問題となります。

結論としては、「特例有限会社の役員に就任した日から起算して登記申請日において、定款で定めた役員の任期が満了している場合」は、株式会社への移行日に役員は任期満了し退任することになります。そのため、株式会社へ移行後の役員をあらかじめ選任しておく必要があります。つまり、最長10年とした場合に株式会社への移行日にすでに10年が経過しているのであれば、移行にあたってあらかじめ選任し直す必要があるわけです。

さて、このように移行後の株式会社の定款内容・登記事項が決定し、必要な書類も揃ったら、いよいよ登記申請となります。申請方式としては、「特例有限会社の解散登記」「商号変更による株式会社の設立登記」の2つの登記を同時に申請します。そして、効力発生日は「登記を申請した日」となります。

登録免許税(印紙代)は、解散の登記については3万円、設立の登記については、資本金の額の1,000分の1.5(商号変更の直前における資本金の額を超える資本金の額に対応する部分については、1,000分の7)となります。これによって計算した額が3万円に満たない場合には3万円となります。

設立の方の登録免許税の規定がちょっとわかりにくいので、具体例で説明しておきます。有限会社時代の最低資本金300万円から変更しなかった場合は、300万円×1,000分の1.5=4,500円ですが、3万円に満たないため、登録免許税は3万円となります。また、株式会社への移行の際に、資本金を300万円から1,000万円に増額する場合は、300万円×1,000分の1.5=4,500円と、それを超える700万円×1,000分の7=49,000円の合計53,500円となります。

今回は、特例有限会社から株式会社への移行について説明しました。手続きにはやや複雑な面もありますので、それぞれの事情に即したご説明をさせていただきます。

大阪府高槻市の司法書士中嶋国際法務事務所では、特例有限会社から株式会社への移行を含めた会社登記全般に関するご相談・ご依頼を承っております。対応地域は、高槻市周辺の北摂地域(高槻市、茨木市、吹田市、摂津市、島本町など)を中心に、大阪府下全域のほか、全国からのご相談・ご依頼にも対応しております。

特例有限会社から株式会社への移行をご検討されている方は、ぜひお気軽に当事務所までご連絡ください。

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