日本の法人にはいくつかの種類がありますが、事業を営む法人としては株式会社がもっともイメージしやすいかと思います。株式会社の設立では、発起人が会社運営に必要な資金を出資し、会社成立後にその発起人は株主となります。株主になるメリットはいくつかありますが、その中でも代表的なものが利益の配当を受けることです。
株式会社の運営は取締役が行い、事業の売り上げから給与や必要経費を差し引いた残りの利益を株主に配当することができるのが株式会社の特徴です。今回お話しする一般社団法人については、「営利を目的としない」というのが特徴となっており、ここが株式会社と大きく異なる点といえます。
では、一般社団法人では利益を出すような活動をしてはいけないのか、というとそうではありません。株式会社と同様に、事業を行い売り上げを確保し、従業員や役員に給与を支払う点は同じです。一般社団法人においては、株式会社でいうところの株主にあたるのが「社員」です。
社員というと、一般的な感覚では従業員という意味で解釈することが多いですが、一般社団法人における社員とは法人の構成員として社員総会で議決権を行使できる立場の人を指します。一般社団法人では出資者という概念はありませんが、社員の位置づけとしては株式会社の株主に近いものといえます。
話を戻しますと、一般社団法人では社員に利益の配当を行わないことが、「営利を目的としない法人」という意味です。一般社団法人では、売り上げの中から役員や従業員の給料、その他の必要経費を差し引いた後の利益は配当せず、法人の活動や事業資金として活用していきます。
そのため、一般社団法人は事業内容が限定されず、利益を生み出すこと自体は可能であることから、地域活動や各種スクール運営、スポーツクラブ、教育活動、文化活動、福祉事業、コンサルティング事業などさまざまな分野の法人が存在します。
では、ここからは一般社団法人の設立の流れをみていくことにします。
一般社団法人の設立にあたっては、株式会社と同様に定款を作成して公証人の認証を受ける必要があります。定款は、設立時社員が作成しますが、一般社団法人の設立時社員は2名以上必要です。一般社団法人には資本金がありませんから、設立にあたっては資本金の額の決定や払い込みの手続きは不要です。
定款では、「目的」「名称」「主たる事務所の所在地」「設立時社員の氏名(名称)及び住所」「社員の資格の得喪に関する規定」「公告方法」「事業年度」を記載する必要があります。また、理事会、監事および会計監査人の設置は任意ですが、置く場合にはその旨を定款に記載しておかなければなりません。
株式会社では、会社運営の役割を担う取締役を選任する必要がありますが、一般社団法人でもこれにあたる理事の選任が必要となります。理事の人数は、理事会を置く法人では3名以上必要ですが、理事会を置かない場合には1名以上いれば問題ありません。
理事の選任は、定款の中で行うこともできますし、定款で定めなかった場合には社員の決議で選任することができます。監事は、株式会社における監査役にあたり、理事の職務執行や法人の業務・財産状況の監査など法人のチェック機関としての役割を担いますが、理事会を置かない法人では設置は任意です。
定款が完成したら、公証人との打ち合わせのうえ、認証日を決定します。一般社団法人では、登記申請日が法人設立日となりますから、希望の設立日がある場合には定款認証の段取りもそれに合わせてスケジュールを組む必要があります。なお、他の書類が揃っていれば、定款認証日後、同日に登記申請をすることも可能です。
定款認証の手数料は、5万円です。そのほか、定款の謄本代に約2,000円が必要となります。
登記申請にあたっての定款以外の必要書類は、定款の定め方により異なります。主たる事務所の所在地は定款の中で最小行政区画までを定めれば足りますが、その場合には具体的な所在地(住所)を別途設立時社員で決定する必要があります。この場合には、「主たる事務所の所在場所の決定に関する決議書」を用意します。
また、先ほども触れましたが、定款で理事を定めていない場合には設立時社員の決議で理事を選任しなければならず、その「理事選任決議書」が必要となります。監事を置く場合にも同様です。また、代表理事を定款で定めていない場合には別途設立時理事が代表理事を選定しなければなりませんから、設立時理事による「代表理事選定決議書」が必要となります。
このように理事、代表理事や監事が選任されても、それだけで就任が決定するわけではなく、本人が就任を承諾する必要があります。つまり、選任された者の「就任承諾書」を用意しなければなりません。また、理事会を置かない一般社団法人では、選任された理事は就任承諾書に実印を押し、印鑑証明書を添付することになっています。
これらの書類の用意ができると、設立希望日に登記申請を行います。なお、令和8年(2026年)2月2日施行の法改正により、法務局の休日となっている土日祝日を法人設立日とすることもできるようになりました。ただし、登記申請は法人設立日の直前の開庁日に行う必要があります。これまでは、平日でなければ法人の設立ができなかったので、大きな改正点といえます。
大阪府高槻市の司法書士中嶋国際法務事務所では、一般社団法人の設立に関するご相談・ご依頼を承っております。対応地域は、高槻市周辺の北摂地域(高槻市、茨木市、吹田市、摂津市、島本町など)を中心に、大阪府下全域および全国対応を行っております。
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