不動産は、土地・建物ごとに登記簿が作成され、不動産を管轄する法務局で管理されています。かつては、紙に手書きで作成されていましたので「登記簿」と呼ばれていました。現在では、コンピュータ化されていて簿冊ではなくデータとして管理されていますので、正確には「登記記録」という名称で管理されていますが、現在でもかつての名残から「登記簿」と呼ばれています。
登記簿(登記記録)の権利を記録する欄は、所有権の情報が記録された「甲区」と所有権以外の権利の情報が記録された「乙区」に分けられています。甲区には、その不動産の所有者の住所・氏名(および共有の場合にはそれぞれの持分)が記録されます。
この甲区の所有者を別の所有者に変更する登記を申請することができますが、変更するためには法律に規定された原因が必要となります。つまり、「どのような原因で所有者が変わったのか?」ということです。わかりやすいのは、「売買」ではないかと思います。民法では、買主が売主に売買代金を支払うことを約する契約によって効力が生じると規定されています。
売買のほかにも、登記簿上の所有者が亡くなった場合には、「相続」という原因を使って、相続人の名義に変更する登記申請を行います。令和6年4月1日に相続登記が義務化されたことでより関心が高まってきています。今回は、「売買」「相続」以外の原因で所有権が移転する場合を1つ取り上げてお話をしていきたいと思います。
「贈与」という原因を使うことで、所有者を変更することができます。贈与は、民法では「当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる(第549条)」と規定されています。これを簡単に表現すると、「あげます」と「もらいます」という意思が合致すれば、贈与は効力が生じるということです。
贈与は、法律上は書面でしなくとも口約束だけでも成立しますが、書面によらない贈与は、履行が終わった部分を除いて、各当事者が解除することができると民法で規定されています。つまり、着手していない部分については「やっぱりやめときます」と言えるので、一般的には「贈与契約書」などを交わして行われることがほとんどです。
贈与には、「死因贈与」というものもあります。これは、生前に上述のような契約をしておいて、効力の発生を「あげる側(贈与者)の死亡した時」とするものです。これと似たものに「遺贈」というのがあります。これは、遺言書の中で誰かに財産を渡すという内容を残しておくものです。死因贈与と同じくあげる側が死亡した時に効力が発生しますが、遺贈は契約ではありませんので、もらう側の意思が必要ではないという点が異なります。
このように、当事者の意思の合致のみで成立する点で、比較的簡単に成立する法律行為といえる贈与ですが、不動産における名義変更の流れについてもみていくことにします。贈与を原因とする所有権移転登記は、あげる側(贈与者)ともらう側(受贈者)が共同して登記申請を行います。申請自体は、司法書士に依頼することで双方の代理人として申請をしてもらうことができます。
用意するものは、あげる側は、「登記済証(または登記識別情報)」「印鑑証明書」「実印」が必要になります。もらう側は、「住民票」「印鑑(認印でも可)」が必要になります。
これ以外に「登記原因証明情報」というものが必要となりますが、これは法務局に対して、「法律の規定に従って間違いなく所有権が移転しました」ということを証明する書類で、贈与契約書でかまいません。
司法書士に依頼する場合には、これらに加えて双方からの「委任状」が必要になります。
不動産登記申請をする場合には、登録免許税(収入印紙代)を納める必要があります。登録免許税は、登記申請の原因に応じた計算方法が示されており、贈与によって所有権移転登記を申請する場合には、不動産の評価額に1000分の20(2%)をかけて算出します。
不動産の評価額は、市場価格ではなく、各市区町村役場で最新年度の「不動産評価証明書」を取得することで確認できます。毎年送られてくる固定資産税の納税通知書にも不動産評価額は記載されています。不動産登記申請の際は、算出の根拠として、どちらかのコピーを提出すれば大丈夫です。
例えば、評価額が8,523,500円の場合、1,000円未満を切り捨てにします。すなわち、8,523,000円を基準として、これに1000分の20(2%)をかけます。すると、170,460円となります。登録免許税は、100円以下を切り捨てますので、この例の場合には、170,400円が登録免許税となります。
誰かに不動産を贈与したいという場合には、司法書士に依頼することで、贈与契約書の作成を含めた準備から登記申請までをすべて任せることができます。また、贈与する場合には、贈与税も気になるところです。司法書士は税金についての相談を受けることはできませんが、付き合いのある税理士を紹介してもらえる場合も多いかと思います。
大阪府高槻市の司法書士中嶋国際法務事務所では、不動産(土地・建物)の贈与による所有権移転登記を含めた贈与全般に関するご相談・ご依頼を承っております。対応地域は、高槻市周辺の北摂地域(高槻市、茨木市、吹田市、摂津市、島本町など)を中心に、大阪府下全域および全国対応を行っております。
贈与についてお悩みの方は、ぜひお気軽に当事務所までご連絡ください。詳しく事情をお伺いして、適した手続きをご案内いたします。