司法書士業務

株式会社の新株発行による資本金の増加(増資)の手続きについて

株式会社を設立する際には、発起人が会社成立後の資本金となる財産を出資します。発起人は、会社成立後は「株主」となります。そして、その出資した金額を1株あたりの金額で割った数が、その株主の「持株数」となります。例えば、会社設立時の資本金が300万円として、発起人Aさんが200万円、Bさんが100万円を出資し、1株あたりの金額が5万円だとすると、Aさんの持株数は40株、Bさんの持株数は20株となります。

この資本金の額ですが、これは会社設立の際に固定されて変更できないというものではなく、会社成立後にも増加させたり減少させたりすることができます。今回は、会社成立後に資本金の額を増加させる方法(増資)について解説します。いくつか増資の方法はありますが、ここでは新株発行により資本金を増加させる方法についてお話していきます。

増資をする際に確認しておかなければならないことは、「発行可能株式総数」です。これは、定款の絶対的記載事項であり、登記事項となっています。例えば、発行可能株式総数が1,000株で、現在すでに発行している株式総数が600株である場合には、増資する際に定款を変更せずに増資できるのは、残り400株となるわけです。

「公開会社(株式の譲渡につき、制限規定がない会社)」では、発行可能株式総数は、発行済株式総数の4倍を超えてはいけないという規定があるものの、日本の株式会社の多くが株式の譲渡につき制限のある「非公開会社」であるため、上限がなく、多くの会社で余裕を持った規定にしています。

そのため、私たち司法書士が受任する新株発行の手続きにおいて、あらかじめ株主総会を開催し、発行可能株式総数を変更するための定款変更決議をするケースは、極めて少ないといえます。

さて、新株発行による増資に話を戻します。この新株発行は、会社法上は「募集株式の発行」といいます。そして、募集方法は、既存の株主に割り当てる方法(株主割当)と、第三者に割り当てる方法(第三者割当)があります。株主割当は、既存の株主の持株比率に応じて割り当てなければならず、株主の一部にだけ割り当てる場合には、第三者割当となります。

ここからは、実際の手続きの流れについて解説していきますが、今回は最も多い非公開会社における第三者割当で定款に特別な定めがない場合に絞り、基本的なケースを題材にお話していきたいと思います。事例としては、「発行可能株式総数1万株」「発行済株式総数300株」「資本金の額300万円」の会社が、資本金を1,000万円まで増加させたいというケースで説明いたします。

この会社の場合は、1株あたり1万円で発行しています(300万円÷300株)。今回の新株の募集も、1株あたり1万円で募集する場合、新株の引受人に700万円を出資してもらって、700株の割当をすることになります。なお、出資額の2分の1までは資本金に計上せずに、資本準備金として計上することもできます。

新株を募集する場合には、まず募集事項を決定する必要があります。募集事項とは、金銭出資の場合には、①募集株式の数②募集株式の払込金額又はその算定方法③払込期日又はその期間④増加する資本金及び資本準備金です。これらは、株主総会(特別決議)によって決定しますが、募集株式の数の上限及び払込金額の下限だけを株主総会の決議で定め、その他募集事項を取締役会(取締役会非設置会社では取締役の決定)に委任することもできます。

募集事項が決定すると、募集事項等について申し込みをしようとする者に通知します。そして、申し込みを募った後に、その中から取締役会(取締役会非設置会社では株主総会の特別決議)で割当先及び割当株式数を決定します。さらに、決定した割当を受ける者に対して、割当数を通知して期限までに出資を履行してもらうというのがおおまかな流れとなります。

なお、新株を引き受ける者と会社間の「総数引受契約」をする場合には、上記のような通知→申し込み→割当決定事項の通知→払い込みといった手順は必要ではなく、契約→払い込みで済むため、スケジュールが組みやすくなります。そのため、実務では総数引受契約の方法で新株を発行することも多く見られます。ただし、総数引受契約を行う場合には、株主総会の特別決議により、その承認を得なければなりません。

今回の事例では、700万円をAさんに400株(出資額400万円)、Bさんに300株(出資額300万円)割り当てるものと株主総会で決議して、Aさん及びBさんそれぞれと総数引受契約を行えばいいというわけです。その後、払込期日までに出資の履行を行うことで手続きが完了します。

引受人が株主となる時期は、「払込期日」を定めた場合には、払込期日に株主となります。「払込期間」を定めた場合には、出資を履行した日に株主となるとされています。例えば、5月1日を「払込期日」とした場合には、5月1日が履行日であり、株主となる時期でもあります。5月1日から5月7日までを「払込期間」として定めた場合に、Aさんが5月2日、Bさんが5月3日に出資の履行をした場合には、それぞれの履行日に株主となります。

登記申請の期間は、払込期日(払込期間を定めたときは払込期間の末日)から2週間以内に登記を申請する必要があります。新株発行による増資の登記申請では、資本金の増加額に1,000分の7を乗じた額(計算結果が3万円に満たない場合には3万円)が、登録免許税(収入印紙代)の額となります。今回のケースでは、700万円の増資ですから、49,000円の登録免許税がかかることになります。

登記事項としては、変更が生じる「発行済株式総数」と「資本金の額」、そして変更が生じた原因年月日となります。

今回は、新株発行による資本金の増加についてみてきました。増資の方法については他にもいくつかありますが、現況を踏まえてベストな方法を選択することが必要となります。

大阪府高槻市の司法書士中嶋国際法務事務所では、新株発行による資本金の増加およびその他の増資方法に関するご相談・ご依頼を承っております。対応地域は、高槻市周辺の北摂地域(高槻市、茨木市、吹田市、摂津市、島本町など)を中心に、大阪府下全域および全国対応を行っております。

株式会社の増資について悩まれている方は、ぜひ一度お気軽に当事務所までお問い合わせください。

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