司法書士の中嶋です。
先日、海外に居住する外国人(カナダ人)の相続放棄を英語でサポートしました。
今回の事例は以下のようなものです。
以前、日本に居住されていたカナダ人女性が日本人男性と結婚して子どもを産み、その後間もなく離婚して、子どもを連れてカナダに帰国されました。
それからしばらくして日本人男性が亡くなり、そのお母様(日本人)が相続人となられたのですが、今回はそのお母様が亡くなられ、再び相続が発生しました。
被相続人であるお母様の本来の相続人である子の日本人男性は既に亡くなられていますので、その子(被相続人の孫)である今回の依頼者のカナダ人男性が代襲相続して相続人となりました。
今回そのカナダ人男性が相続放棄をする理由としては、幼い頃からカナダに住んでいて日本とほとんど関わりがなく、相続財産である不動産や預貯金の額は知り合いを通じて多少は把握しているものの、それ以外の相続財産の調査も難しく、仮に相続したとしても管理が難しいので相続放棄を決断されたようでした。
相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に必要書類を一式提出することによって行います(参考:裁判所ウェブサイト)。
当事務所で相続放棄の依頼を受けた後、まずは日本国内において戸籍など必要書類の収集を開始しました。
相続放棄の申述に共通して必要な書類として、相続放棄申述書、被相続人の住民票除票または戸籍附票、および相続放棄をする相続人(申述人)の戸籍謄本が必要になります。
なお、今回相続放棄をする相続人は外国人でしたが、日本に戸籍は残っておりました。
それ以外に必要な書類は、相続人と被相続人の関係によって変わってくるのですが、今回の被相続人の孫が代襲相続する事例では、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本に加え、本来の相続人(被代襲者)である被相続人の子の死亡の記載のある戸籍謄本も必要になります。
また、今回の相続人はカナダにしか住所を有していないため、裁判所から送付される書類を当事務所宛に変更するため、送達場所等届出書(裁判所ウェブサイトからダウンロード可)も必要になりました。
戸籍を収集して相続人を確認した後、相続放棄申述書および送達場所等届出書に記入した上でカナダ在住の相続人に署名してもらい、日本国内の当事務所に国際郵便で郵送してもらいました。
なお、相続人が日本国内在住の日本人であれば相続放棄申述書には署名(記名)に加えて押印が必要になりますが、今回の事例は海外居住の外国人で印鑑を持っていなかったため、署名のみでの申述となりました。
相続放棄の申述に必要な書類が揃った後、管轄家庭裁判所に書類を一式、申述に必要な費用(収入印紙および郵便切手)と共に郵送しました。
その後、相続放棄の申述が無事に受理され、管轄家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送られてきました。
この「相続放棄申述受理通知書」は再発行されませんので大切に保管する必要がありますが、この通知書をカナダ在住の依頼者の元に国際郵便で郵送し、今回の案件は無事に終了となりました。
今回は相続人が海外に居住する外国人だったため署名のみでの申請となりましたが、サイン証明も求められず無事に受理されて安心しました(事前に管轄家庭裁判所に確認することをおすすめいたします)。
なお、相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければなりませんので注意が必要です(民法915条1項)。
大阪府高槻市の司法書士中嶋国際法務事務所では、海外に居住する相続人の相続放棄を日本語および英語でサポートいたします。
相続放棄に限らず、相続財産の調査や相続登記のご依頼も承っておりますので、相続にお困りの方は是非お気軽にお問い合わせください。