日本には、「会社」の種類として株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の4種類が存在します。かつては有限会社という形態もあり、現在も残っていますが、新たに設立することはできません。今回は、この4種類の中でも比較的数が多い株式会社と合同会社について、どのような特徴があり、どう違うのかをみていきます。
かつては株式会社を設立するためには、出資者(発起人)が7人必要で資本金を1,000万円以上集めることが要件とされていました。この出資者は、会社設立後は「株主」となります。
本来、株主と経営者は別の存在です。わかりやすくいえば、会社を運営するノウハウはあるものの、運転資金がない場合に、出資者にお金を出してもらって、儲かったら株主に還元(配当)するというのをイメージすると理解しやすいでしょう。要するに、本来会社はお金を出した株主のものであり、代表取締役(社長)のものではありません。
ところが、平成18年に法律が改正されて、株式会社を設立するには資本金は1円以上、出資者(発起人)は1人以上いればよいとされました。これにより、社長となる人が自ら資本金を用意して株式会社を設立するということが可能になりました。つまり、「株主=代表取締役(社長)」という株式会社が多く設立されることになりました。
法改正の目的は、ハードルの高い設立要件を撤廃し、個人企業家やベンチャー企業の創業を促し、経済を活性化することにありました。これにともない、小規模な企業に適した有限会社も新たに設立する意味がなくなったのです。この法改正で新たに登場した会社の形態が合同会社です。
合同会社では、出資者のことを社員といい、会社運営は社員のうち業務執行社員となる人が行います。株式会社の株主も合同会社の社員も、有限責任といって、会社に損失が出ても出資した範囲内の責任を負い、私財を投げうって損失を補填する責任を負わないのが特徴です。
合同会社は、株式会社よりも会社運営において、自由度が高く柔軟性があります。大きな違いとしては、決算公告の必要がない、役員の任期がない、利益配当が出資割合に縛られないなどがあげられます。もう1つ合同会社という形態を選択するのに大きなメリットがあります。それは、設立における費用負担と迅速性です。
先ほど株式会社の資本金は1円以上であればよいとお伝えしましたが、実際には1円で会社設立の手続きができるというわけではありません。会社設立時には「定款」という会社のルールを法律の規定にもとづいて記載したものを作成します。そして、株式会社の場合には公証人にこの定款を認証してもらわなければ設立登記ができません。この公証人の認証手数料として、約3万円~5万円(資本金の額による)が必要になります。
さらに、登記手続きには、登録免許税(収入印紙代)を納めなければなりません。これが、株式会社の場合には資本金の額に1,000分の7を乗じた額とされています。この算出した額が15万円に満たない場合には、15万円を納めることとなっています。すなわち、公証人手数料と登記申請の登録免許税(収入印紙代)だけで、最低でも18万円は必要になるわけです。
この点で、合同会社の場合、定款の作成は必要ですが、公証人の認証は必要がありません。また、設立登記時の登録免許税は、資本金の額に1,000分の7を乗じる点では株式会社と同じですが、最低額が6万円となっていますから、株式会社の半分以下ということになります。定款認証も必要がないため、大きな実費としてはこの6万円のみということになります。
また、資本金が1円以上でよいとはいえ、登記事項証明書(登記簿)に資本金が記録されますから、資本金1円の会社としての信用度はかなり疑問であるといえます。そうなると、例えば、資本金を100万円として株式会社を設立する場合では、最低でも約120万円、合同会社では、最低でも約106万円を用意する必要があるということです。
会社設立の登記手続きを司法書士に依頼する場合には、この金額に報酬が加算されますので、その分も用意することになりますから、会社設立にはそれなりに手続き費用がかかってきます。そうなると、設立費用を抑えたい、少人数で柔軟に会社運営をしたい、将来的に上場を目指していないといったケースでは合同会社も選択肢として入ってきます。
また、公証人に認証をしてもらうためには事前の内容の打ち合わせや認証日時の予約など日数的にも株式会社の方が多くかかります。合同会社という形態で比較的低予算で速やかに会社を設立したのち、株式会社に変えたいという意向が出てきた場合には、将来的に組織変更の登記をすることもできます。
これから会社設立をお考えの方で、もっと株式会社と合同会社の違いについて知りたいという方はぜひ当事務所までご連絡ください。
