司法書士の中嶋です。
先日、在留外国人の方からのご依頼で、日本にある不動産の名義変更(相続登記)を行いました。
今回のケースでは、亡くなられた被相続人の方が日本人、相続人の方が配偶者と子の2人なのですが、配偶者が日本の永住権を持つアメリカ国籍の方で、18歳の子が日本とアメリカの二重国籍の方でした。
外国人が絡む相続登記では、関係者が日本人のみの場合とは異なり考えなければならない問題があります。
法の適用に関する通則法第36条では、「相続は、被相続人の本国法による。」と規定されています。
これは、被相続人が日本人ではない場合、原則として被相続人の国籍がある国の法律が適用されるというものですが、今回のケースでは被相続人が日本人なので日本の法律が適用されます。
被相続人が外国人の相続登記のご依頼は当事務所ではまだまだ少ないのですが、日本でも在留外国人の数が増えていますし、将来的には被相続人が外国人のケースも増えてくるかと思います。
さて、今回のケースでは、相続人の方たちは日本在住で印鑑証明書や住民票もありますので、手続き自体は日本人が相続人の場合とほとんど異なりませんでした。
以前あったのですが、相続人がアメリカ在住のアメリカ人のようなケースでは、住民票の代わりに住所証明情報として宣誓供述書を作成して公証人の認証を受ける必要があります。
また、今回のケースでは、配偶者と子の間の遺産分割協議により、配偶者の方が単独で不動産を相続することになりました。
子が未成年であれば遺産分割協議をするにあたって家庭裁判所を通じて特別代理人を選任する必要があるのですが、現在の成人年齢は18歳になっておりますので、子が18歳になったばかりの今回のケースでは特別代理人の選任も不要となり助かりました。
前述したように、相続登記の手続き自体は日本人が相続人のときとほとんど変わらずスムーズに進めることができたのですが、依頼者の方とのやり取りは全て英語でこなす必要がありました。
今回の依頼者の方は日本在住が長くて親戚に日本人も多く書類の英訳までは行いませんでしたが、やはり不動産の相続や売買、会社設立など法律関係が絡む重要な手続きに関しては、それなりに日本語ができても英語(またはその他の母国語)でのやり取りを望まれる外国人の方が多いように思います。
当事務所では、翻訳や英語でのやり取りも含めてスムーズなサポートが可能ですので、外国人の方が相続人になられてお困りの際には是非お気軽にお問い合わせください。