司法書士業務

アメリカ(米国)の年金保険の死亡給付金に関する翻訳および申請サポートについて

司法書士の中嶋です。

以前、お客様からのご依頼でアメリカ(米国)の年金保険の死亡給付金の申請をサポートすることになりました。

本案件では、アメリカ在住の女性が亡くなられ、保険金の受取人として指定されていた日本在住の2名の親族宛にある日突然、Nationwideというアメリカの生命保険会社から保険金請求に関する書類が届きました。

この書類は当然英語で書かれており、依頼者である受取人は英語が分からないので、英文書類の日本語への翻訳および申請用紙の記入をサポートしてほしいというご依頼でした。

何でも、当初は知り合いの司法書士に相談したところその方は英語ができず、国際弁護士に相談に行ったところ報酬があまりにも高すぎるということで、ネットで検索して私の事務所に来られたということです。

ご依頼を受けた後、まずは英文の書類をじっくりと読み込んで、その後、依頼者の要望に基づいて今回の申請と依頼者にとって不必要と思われる部分を除いて翻訳作業を進めました。

保険金の申請方法などに関する不明点に関しては、書類に記載されていた保険会社のメールアドレス宛に問い合わせたところ、丁寧に対応してくれました。

書類には申請方法だけではなく税金に関する情報も多かったのですが、「Form W-8BEN」の情報を提供してくれたことを除いて、残念ながら「税金に関することは専門家に聞いてくれ」で教えてくれませんでした。

この「Form W-8BEN」とは、簡単に言えば、アメリカでの源泉徴収を回避するためのものです。

通常、アメリカでの所得にはアメリカにおいて税金が課されますが、日米租税条約に基づき、日本に住むアメリカの非居住者であれば、この「Form W-8BEN」を提出することによって日本で課税対象になります。

さて、翻訳を終えた後、受取人の方たちに私の事務所において保険金の申請用紙および「Form W-8BEN」にご記入いただき、契約者の死亡証明書、戸籍抄本およびその英訳文(受取人の性の変更を証するため)と一緒に、保険会社にメールで提出しました。

本案件における保険金の受け取り方法に関しては、アメリカに銀行口座を保有していなければ、日本の住所宛に小切手を郵送していただくしか選択肢がありませんでした。

申請が終わった後、小切手が無事に受取人の住所宛に郵送されてきたのですが、今度はこの小切手を換金する必要があります。

ほんの数年前までは日本の銀行において海外の小切手を換金することは難しくなく、私もオーストラリアで働いていた際に支払っていた年金を解約した際に送付されてきた小切手を大手銀行に持ち込んだら簡単に換金してくれましたが、マネーロンダリングなどの防止のため、近年では海外の小切手を換金してくれる国内の銀行はほとんどないようです。

私が調べたところ、現在ではSMBC信託銀行以外に海外の小切手の換金(取立)を行なっている銀行はないようでした。

SMBC信託銀行が海外の小切手の取り扱いをやめたらどうなるのでしょうか。

アメリカに銀行口座を保有していない以上、現地に住んでいる人などに依頼して換金してもらった後に国際送金してもらうしか方法がないように思いますが、一般的な日本人にはなかなかハードルが高いように思います。

アメリカでは小切手はまだまだ日常的に使用されているようですので、日本の政府や銀行には何とか対策してもらいたいものです。

さて、依頼者である受取人にはSMBC信託銀行に口座開設をするようアドバイスしたのですが、その後無事に小切手が換金されて保険金が振り込まれたとのことです(1人はアメリカドル、もう1人は日本円での振り込みを選択されていました)。

保険金(死亡給付金)の総額は700万円程度(2023年当時のレート)でしたが、私の報酬は、翻訳料金を含めて数%程度でした。

保険金を受け取った後は、税金の問題が発生します。

受取人の1人は死亡者(契約者)の相続人、もう1人は相続人ではない親族でしたので、恐らく受け取った保険金に対しては相続税と贈与税が課せられることになるのではないかと思います(私は税金の専門家ではないので確かではありません)。

税金に関しては税理士さんなどの専門家に聞くように念押しして、本依頼は無事に完了することができました。

本案件はアメリカの保険金(死亡給付金)でしたが、私の事務所では、アメリカに限らず、海外の保険金に関する申請サポートや翻訳のご依頼を承っております。

事案によって報酬は異なりますが、本案件のように海外の保険会社から突然英語の書類が届いて悩まれている方などは、是非お気軽にお問い合わせください。

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