司法書士試験受験生の方は既にご存じかと思いますが、令和5年12月4日付けで法務省のサイトに公表されている通り、令和6年度(2024年度)以降に実施される司法書士試験において、記述式問題の配点が「2問で70点満点」から「2問で140点満点」に変更されます。
【重要】司法書士試験筆記試験記述式問題の配点の変更について(法務省)
択一式の配点は210点満点となりますので、これまでは択一式の割合が75%(210点)で記述式の割合が25%(70点)だったのが、令和6年度からは択一式の割合が60%(210点)で記述式の割合が40%(140点)となります。
考えてみると、択一式と記述式の割合が3:2と言うのは、司法書士試験において理想的な試験時間の配分(択一式3時間:記述式2時間)の割合と同じですね。
むしろ、これまで散々書いて1問あたり35点満点という記述式の配点がおかしくて、あるべき姿になったと言えるのかもしれません。
現在のところ、変更は記述式の配点のみで、3時間という午後の部の試験時間に変更はないようです。
司法書士試験は実務色の濃い試験であり司法書士は登記の専門家ですので、司法試験が論文式に比重を置いているように、司法書士試験もより登記法の記述式に比重を置くという法務省の意思の表れではないでしょうか。
司法書士試験の記述式の採点基準や採点方法は不透明でありかつ上乗せ点を取ることも難しいため、これまでの司法書士試験では、択一式で逃げ切り点を取って、記述式は基準点さえ超えれば合格というのを狙うのが定石だったように思います。
ただ、今回の変更によって、「記述式の基準点を超えれば合格」というのはひょっとすると難しくなるのかもしれません。
その場合、択一式が得意で記述式が苦手な方(多くの合格レベルにある受験生はこのタイプかと思われます)には不利な変更となり、逆に記述式の方が得意な方は上乗せ点がより多く狙えるので有利な変更となりそうです。
あるいは、より細かく記述式の採点ができるように配点を変更した可能性もあります。
記述式の採点基準や採点方法に関しては公表されていないので考えても分かりませんし、時間の無駄です。
結局のところ、司法書士試験に合格するにはどの科目も満遍なく勉強する必要がありますので、本変更によって勉強方法を大きく変える必要はないのかなぁ、と思います。
勉強に費やせる時間によっても異なるかと思いますが、「全ての科目で満点を狙う」のが、司法書士試験の合格を目指すにあたって正しい姿勢のように思います。
その上で、択一式が得意な方は、記述式で少しでも上乗せ点が多く取れるように記述式の比重を少しでも増やす、その逆に記述式が得意な方は、択一式が基準点ギリギリでも記述式の上乗せで挽回できる可能性がありますので、択一式もしっかり勉強しつつさらに記述式を伸ばすということになりましょう。
個人的には、午後の部で1問しか出題されない割に難解な民事執行法を捨てる人が増えるのではないかと懸念しております(笑)。
なお、司法書士試験の記述式問題の配点の変更以前に書かれた本ブログの過去記事は、以前の配点を元に書かれております。
私の受験生時代の記録であり変更することはありませんので、過去記事を読まれる方は適宜置き換えて読んでいただけますと幸いです。
また、本記事は現役司法書士および元受験生の立場から書かれた個人的見解になりますのでご了承ください。
実際に受験生にどのくらいの影響があるのかは、令和6年度(2024年度)の試験結果が発表されてからでないと分からないですからね。
本変更が、頑張って勉強している受験生の方には大きな影響がなくかつ良い変更となることを願います。